石材の風合いを損なわないよう配慮した専用洗浄剤を用い、苔・カビ・水垢・排気ガス由来の黒ずみなどを丁寧に取り除きます。
汚れの種類や付着の程度に応じて、最適な洗浄剤を使い分け、石材ごとに最も適した方法で慎重に作業を進めていきます。
単に一度の洗浄で済ませるのではなく、必要に応じて複数回にわたり洗浄工程を繰り返し、少しずつ汚れを落としていくため、作業には一定の時間を要します。
高圧洗浄機などの強い水圧をかける機械は一切使用せず、すべて手作業で行います。これにより、石材への負担を極力抑えつつ、細部まで丁寧に汚れを除去できます。
作業の目的は、石材が本来持つ自然な風合いをできる限り引き出し、清潔感のある美しさを取り戻すことにあります。
ただし、石材に深く浸透してしまった錆や染みなど、一部の汚れは完全に除去しきれない場合もございます。特に、長年蓄積した染みや劣化が進行している箇所では、現状より改善することは可能でも、完全に元通りの状態に戻すことは難しいケースもあります。
当方では、安易に「必ず落とせる」とは申しませんが、石材の状態を見極めたうえで、できる限り本来の美しさに近づけるよう、ひとつひとつの工程に真摯に取り組んでおります。

石材は見た目以上に水分を吸いやすく、そのまま放置するとカビや苔が繁殖しやすくなったり、表面の変色や劣化の進行を早めてしまうことがあります。
吸水防止コートでは、専用の浸透性コーティング剤を用いて、石材内部への水分の侵入を抑制します。これにより、雨水や湿気による汚れの付着や、カビ・苔の発生を防ぎ、石材の美しい状態を長く維持することができます。
施工後も見た目や手触りを損なわず、自然な風合いを保ったまま石材を守る、目立たない保護処置です。

石材の表面には、肉眼では確認できない極めて小さな「微細孔（びさいこう）」が無数に存在しています。これらの微細孔から水分や汚れが侵入することで、長い年月の間に石材の劣化や変色が進行することがあります。
無機系封孔コートは、これらの微細孔を無機成分でしっかりと埋めて密度を高め、石材の強度と耐久性を向上させる特殊な処置です。水分の侵入を抑えるだけでなく、表面の汚れの付着を防ぎ、石材本来の美しさをより長く保つ効果が期待できます。
また、仕上げの風合いは石材の特性やご要望に応じて調整が可能です。施工時には、石の質感を活かしつつ自然な仕上がりを重視する「艶を抑えた風合い重視の仕上げ」から、しっとりとした艶を感じられる「艶出し仕上げ」まで、石材の性質に合わせた施工をご提案しています。
なお、この封孔処理は施工後すぐに効果を発揮するものではなく、完全に硬化して十分な効果を発揮するまでには約3か月ほどの期間が必要です。硬化が進む過程で石材内部にしっかりと浸透・定着し、より確かな保護層が形成されていきます。
私たちは、お客様ご自身にも実際に施工後3か月ほど経過したお墓に足を運んでいただき、その手触りや表面の変化を体感していただくことをおすすめしています。
また、この施工は乾燥した状態での作業が必須となるため、雨天や強風の日は避け、天候を慎重に見極めたうえで行います。硬化前に砂ぼこりや異物が付着すると仕上がりに影響するため、最適な作業日を選んで丁寧に施工を進めています。

吸水防止コートまでご依頼いただいた場合、既存の彫刻部分への「筆入れ（色入れ）」も承ります。 **目安として「1文字40mm程度・約80文字（概ね1㎡）」まで**は無料で対応しております。 ただし、文字の大きさによっては小さな彫刻ほど手間が掛かるため、**細かい文字の場合や、装飾彫刻（花模様・唐草模様など）などの細部作業が必要な場合は、別途料金となることもございます。** 実際の石材の状態・彫刻内容を確認し、事前に費用の有無をご案内いたしますのでご安心ください。

長い年月のうちに石材に染み込んだサビやシミ、輪染みなどの頑固な汚れは、通常の洗浄ではどうしても落としきれないことがあります。 そのような汚れには、石材の状態を見極めながら、専用の薬剤を使った「特殊汚取施工」をご案内することがあります。 ただし、石材への負担を最優先に考えるため、無理な作業は行いません。 汚れの種類や状態によっては、**ある程度までの改善にとどまる**こともございますので、事前に詳しくご説明し、ご納得いただいた上で作業を進めてまいります。 （※この施工は別途お見積もりとなります）